葬儀・終活コラム
2つ以上の法事を同時に行う 併修 の注意点とマナー
「父親の十三回忌と、祖母の三十三回忌」など、2つ以上の法要をする年が重なったときに、それらを同時に行うことを 併修 といいます。法要をまとめることができる 併修 は便利なものですが、気をつけるべきことも少なくありません。併修の注意点やお布施の金額などマナーについて解説します。
【もくじ】
「父親の十三回忌と、祖母の三十三回忌」など、2つ以上の法要をする年が重なったときに、それらを同時に行うことを 併修 といいます。法要をまとめることができる 併修 は便利なものですが、気をつけるべきことも少なくありません。併修の注意点やお布施の金額などマナーについて解説します。
併修 とは2つ以上の法要を同時に行うこと
併修(へいしゅう)とは、同じ年に2つ以上の法要が重なったときに、それらを同時に行うことを意味します。短期間に複数の法要があると、主催する施主側も、集まる親族側も大変です。菩提寺の都合をつけるのに苦労する場合もあります。よって、まとめて法要を行ってしまうのです。合齋(がっさい)ともいいます。
回忌は「何年ごとにやる」というものではなく、以下のように法要を行うべき年数が決められています。よって、回忌は重なる年もあれば、重ならない年もあります。先祖の位牌に書かれた没年を見て、今年は法要が重ならないかどうかを確認しておきましょう。毎年、ハガキ等で回忌を知らせてくれる菩提寺もあります。
【主な回忌】
年忌 | 亡くなってからの年数 |
一周忌 | 1年目 |
三回忌 | 2年目 |
七回忌 | 6年目 |
十三回忌 | 12年目 |
十七回忌 | 16年目 |
二十三回忌 | 22年目 |
二十七回忌 | 26年目 |
三十三回忌 | 32年目 |
三十七回忌 | 36年目 |
五十回忌 | 49年目 |
百回忌 | 99年目 |
併修 の注意点
併修を行うときには、以下に注意しましょう。
・亡くなってから年数が浅いときはなるべく個別で法要を行う
一周忌や三回忌といった、亡くなってからまだ年数が浅い故人の法要は、併修をすべきではありません。なるべく個別に法要を行うようにしましょう。どの回忌まで個別で法要を行うのがふさわしいかは、地域やお寺によって考え方が違います。七回忌からは、併修を行ってもよいか菩提寺や年長の親族に聞いてみるのがおすすめです。
・日程はもっとも最近の没年月日か、早いほうの命日に合わせる
法要の日程を組むときには、2つの考え方があります。
1つめが、併修を行う対象となる故人の中でも、一番最近に亡くなった人の命日に合わせる考え方です。例えば、「父親の十三回忌と祖母の三十三回忌」であれば、父親の命日をめどに日程を組むのが、この方法です。
もう1つが、1年のうちでも早いほうの命日に合わせる考え方です。先の例であれば、「父親の十三回忌が12月で、祖母の三十三回忌が10月」だった場合、祖母の命日である10月に合わせて日程を組みます。
どちらの方法を選択するかは、菩提寺や親族に相談して決めましょう。
・親族へのお知らせには併修であることを明記する
親族へ法要のお知らせ状を出すときは、併修であることを明記しましょう。お知らせ状の文面には、一番最近に亡くなった人の戒名と回忌名から順に記します。
・併修は同年内の回忌に限る
今年の法要と、翌年の法要を同時に行うのは、あまりよくありません。同年内の回忌に限って併修を行うようにしましょう。
併修 のマナー
併修のマナーとして、以下に気をつけましょう。
・お布施は通常の1.5倍程度を目処に
併修のお布施は、「2人なので2倍」と考える人もいるかもしれません。しかし、一般的には1.5倍程度にするケースが多いようです。お布施と別に、5000円程度の「御車代」と、5000円程度の「御食事料」を包むのを忘れないようにしましょう。
もっとも、御車代は寺院が遠方であれば実際にかかる交通費相当を包まなければなりませんし、お迎えの車を出した場合には必要ありません。御食事料は、寺院が会食に出席したときや、お土産にお弁当の包みを用意したときには不要です。
・服装は施主側が決めてよい
法要の服装は、一周忌、三回忌など亡くなってから年数が浅いうちは喪服を着ますが、七回忌、十三回忌など、回忌を重ねるにつれて平服を着るようになるのが一般的です。併修の場合、亡くなってから年数の浅い故人はそもそも対象としないので、平服とするケースも少なくありません。喪服とするか、平服とするかは、菩提寺や親族と相談のうえ施主が決めるようにしましょう。
なお「平服」はカジュアルな服装を意味しないことに注意しましょう。ジーンズやニットはNGです。法要の平服は、男性であれば礼服ではない黒のスーツに、グレーや紺など地味な色味のネクタイを使用します。靴や靴下などの小物は黒とします。女性は喪服ではないワンピースにカーディガンやジャケット、スーツとし、肌色のストッキングを着用します。
・香典はいつもの法要の1.5倍をめどに
併修は1つの法要と考えて良いため、香典も1つの袋にまとめて構いません。金額も、「2人分だから2倍」という考え方をせずともいいでしょう。いつもの法要よりも少し厚め、1.5倍をめどに包むのが一般的です。
併修 を考えたら、まずは菩提寺に相談しよう
以上、併修について解説しました。2つ以上の法要をひとつにまとめるには様々な注意点がありますが、金銭的にも、身体的にも負担が軽減します。併修をしたいと考えたなら、まずは菩提寺に相談しましょう。