葬儀・終活コラム

供養

先祖供養とは?種類や方法をご紹介

先祖供養 とは、先祖の墓を訪れたり、仏壇にある先祖代々の位牌を拝んだりして、先祖の冥福を祈り、感謝の気持ちを伝えることです。先祖の年忌法要を行うことも、先祖供養の一つといえます。先祖供養には、命のつながりの大切さを後世に伝える役割もあります。先祖供養の種類や方法をご紹介します。

先祖供養とは、命をくれた先祖に尊敬と感謝の念を伝える行為

先祖がなければ、私たちはこの世に生まれてきませんでした。 先祖供養 は、仏壇やお墓にお供え物をし、線香を立てて祈りをささげることで、命を与えてくれた先祖たちに尊敬と感謝の念を伝えるものです。

仏教には「回向(えこう)」という考え方があります。宗教者に法要を依頼して読経をしてもらったり、それに対してお布施をしたり、祈りを捧げたりすると、この世で功徳を積むことになります。その功徳を死者に振り向け、成仏の助けとするのが「回向」です。仏壇やお墓でお祈りし、また法要を行うことで、私たちは先祖に回向を行うことができます。

供養を行い、功徳を先祖に振り向けながら、私たちは命のつながりの尊さを感じます。子どもたちには「ご先祖様がいなければ、私たちは生まれてこなかったのだよ」と伝えられます。先祖供養は単なる宗教的、儀式的な行為ではなく、命の大切さを家族で共有できる、大切な機会といえるでしょう。

先祖供養の方法1:自宅の仏壇などで位牌を祀る

先祖供養

先祖供養の一番身近な形は、先祖の位牌を自宅の仏壇などに祀り、毎日お参りする方法です。仏壇には本尊が祀られていて、本尊の下に先祖の位牌や小さな遺影などを飾ることができるようになっています。毎日、仏飯や水をお供えし、線香をあげることで、本尊を称えることも、先祖を弔うこともできます。

何代も続いてきた家には、先祖のものとされる位牌がいくつもあることでしょう。たくさんありすぎて供養が困難な場合には、繰り出し位牌にまとめるのも一つの手です。繰り出し位牌とは、戒名を書き入れた札を数枚入れることができる位牌です。札は、亡くなった日が近い人から順に並べておきます。誰かの法要日や命日が近くなったら、該当の人物の戒名札を先頭に出します。

最近では、狭小である、洋間にそぐわないといった事情から仏壇を置けない家が増えてきています。実家などから先祖の位牌を受け継いだら、どうしたらよいか戸惑ってしまうこともあるでしょう。家でしっかり先祖供養をしたいと考えたら、リビングにも置けるミニ仏壇や洋間にも馴染む洋風仏壇を検討しましょう。位牌と、小さな燭台やリンをステージに飾るだけといったシンプルな供養法も考えられます。

先祖の位牌を自宅に置き続けられない事情があるなら、菩提寺に相談のうえ、魂抜きとお焚き上げを依頼するのがおすすめです。

先祖供養の方法2:お墓参りを行う

お墓参りを行うのもまた、先祖供養の一つです。先祖の命日、お盆、お彼岸などに、先祖代々の遺骨が納められたお墓に花を手向け、線香をあげて手を合わせます。また、先祖の家であるお墓周りをきれいにすることも、先祖供養の一環と考えていいでしょう。ホウキでお墓を掃き清め、水で濡らした雑巾やスポンジで墓石を磨きましょう。破損が見つかったら、早めに石材店頭に連絡して直します。

お墓を処分しなければならない事情がある人が増えています。いわゆる「墓じまい」をするときには、菩提寺に前もって相談し、遺骨の行き先を決めておきましょう。先祖の遺骨をお墓から出して供養する方法には、菩提寺などの供養塔に、他の人の遺骨とともに納骨してもらう永代供養や、散骨が考えられます。いずれにせよ、誰も弔う人のいない無縁仏にならないよう、しっかり行き先を決めるのが大事です。

先祖供養の方法3:年忌法要を行う

一周忌、三回忌などの年忌法要を行うことも、先祖供養の一つです。遠い先祖を年忌法要で供養したいなら、菩提寺に相談しましょう。どんな人物が、何回忌に当たるかを調べてもらえます。「父親の三回忌」と「祖父の三十三回忌」など、複数の先祖の回忌に当たる年があったら、まとめて供養するのもいいでしょう。

法要を行う際は、僧侶と相談して日取りを決め、一か月前までには親族に詳細を知らせておきます。法要を行う場所、法要後の会食場所、返礼品などを決定するのが施主の役割です。お布施は、回忌の対象となる人数分を、別々に用意します。

自分たちなりの先祖供養を、心を込めて行う

これまで、先祖供養といえば、仏壇で毎日お祈りをし、節目となる日にはお墓参りをするのが一般的でした。しかし、仏壇のない家や、お墓の継承が困難な家が増えている今、先祖供養の形が変わりつつあります。

先祖供養で大事なのは、自分に命をつないでくれた人たちに感謝の気持ちを表すことです。菩提寺や親族に相談しながら、自分たちなりの先祖供養のスタイルを作り上げましょう。

穂苅 岳史

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